- 「毎年もらえる」も「1回だけ」も実際とは違う|NTTの優待は2年目と5年目の2回
- 誤解のもとは保有期間の数え方|「買った日から2年」ではない
- で、いつ届くのか|基準日から進呈までのタイムライン
- 数えた年数が消える瞬間|株主番号が変わると起算日が戻る
- 100株で約17,250円|必要資金と、優待とは別に受け取る配当
- 5年間動かさずにおけるかが分かれ目|向く人・向かない人と、その後
- まとめ|NTTの優待は2回だけ、届くまでの導線を知っているかで結果が変わる
「NTTの株主優待、去年もらったのに今年は来ない」「そもそも1回だけって本当?」——このあたり、けっこう多くの人がつまずくところです。NTT(証券コード:9432)の株主優待は、持っている限り毎年届くタイプではありません。かといって1回で終わりでもない。公式が示しているのは「2年目」と「5年目」の合計2回だけという、ちょっと変わった設計です。この記事では、その2回がいつ・どうやって手元に来るのかを、公式の情報にあたりながら順に整理していきます。株価は2026年8月31日の終値、優待の条件は2026年9月1日時点で確認したものです。
「毎年もらえる」も「1回だけ」も実際とは違う|NTTの優待は2年目と5年目の2回

結論から書くと、NTTのdポイント進呈は保有期間が一定のラインを越えた年に1回ずつ、生涯で最大2回です。毎年の恒例行事でもないし、1回きりでもない。まずはこの「2回」という数え方を押さえてしまえば、あとの話はすべてここにぶら下がります。
公式が示す区分は2つだけ。1,500ポイントと3,000ポイントで上限4,500
NTTの公式ページに載っている進呈の区分は、次の2つです。
| 保有期間 | 進呈されるdポイント |
|---|---|
| 2年以上3年未満 | 1,500ポイント |
| 5年以上6年未満 | 3,000ポイント |
| 合計(生涯の上限) | 4,500ポイント |
対象になるのは、基準日である毎年3月31日の時点で100株以上を保有している株主です。区分が2つしかない、というのがこの優待の全体像。3年目や4年目に何かもらえる欄はありませんし、7年目・10年目といった追加の段もありません。「持っている年数に応じて毎年少しずつ」ではなく、「2つの関門を通過したときに1回ずつ」と考えると、実態に近くなります。(出典:NTT公式「株主さまへのdポイント進呈」/確認日:2026年9月1日)
6年目以降は新たな進呈がない。持ち続けても増えない設計
ここが「1回だけ?」という疑問が出てくる理由でもあるのですが、5年以上6年未満の3,000ポイントを受け取ったあとは、それ以上持ち続けても新しいポイントの進呈はありません。10年持っても、20年持っても、優待として増える分は4,500ポイントで打ち止めです。
逆に言えば、ゴールがはっきりしている優待でもあります。優待だけを目的にするなら5年ちょっとで完走、その先は配当をどう考えるかという別の話に切り替わる。この区切りを最初から知っておくと、あとで「あれ、今年も来ない」と焦らずに済みます。
「隠れ優待」を探して来た人へ|条件は公式ページに出ている、ただし別枠がある
「隠れ優待」という言葉は、会社が株主優待として正式に案内していないのに、株主になっていると受け取れるもの——そういうものを指して使われることがあります。NTTの公式な用語ではありません。
その意味では、ここまで説明してきたdポイントの進呈は隠れていません。対象になる株数も、保有期間ごとのポイント数も、申し込みの方法も、NTTのIRページに載っています。少なくとも現時点で調べる分には、公式ページだけで完結します。
ただし、保有期間による進呈とは別枠の案内があります。招集ご通知などを電子メールで受け取る登録をした株主に、dポイント300ポイントを進呈するというもの(2027年3月末が基準日。過去2回受け取っている場合は対象外)。これは株主優待のページではなく、招集通知の案内ページのほうに掲載されています。優待だけを見て回っていると視界に入りにくい場所なので、こちらは別途チェックしてください。(出典:NTT公式「招集ご通知等の電子メールによる受け取りのご案内」/確認日:2026年9月1日)
ちなみにNTT株が100株から手の届く金額になったのは、2023年6月30日を基準日、2023年7月1日を効力発生日として普通株式1株を25株に分割したためです。買いやすくなって名前を知る人も増えた一方、中身が年1回の定番ではなく2年目と5年目だけの変則型だったため、イメージと実態のズレが残ったままになっている——という構図ですね。(出典:NTT公式「株式分割に関するお知らせ」/確認日:2026年9月1日)
誤解のもとは保有期間の数え方|「買った日から2年」ではない

「2年以上3年未満」と書かれていると、つい買った日から数えたくなります。ところが実際は基準日である3月31日をまたいで数える仕組みなので、買うタイミングによって最初の1回目が1年ずれることがあります。ここが最大のつまずきどころです。
判定は毎年3月31日時点。起点は株主名簿に載った日
保有期間のカウントが始まるのは、株を買った日そのものではなく、あなたの名前が株主名簿に初めて登録された日です。そして、条件を満たしているかどうかを判定するのは毎年3月31日。この2つがセットになっています。
つまり「3月31日の名簿に、同じ株主番号で何年連続で載っているか」が問われている、ということ。カレンダー上で丸2年経過したかどうかではありません。
買う時期が数か月ずれると、最初の1,500ポイントの年もずれる
具体的な数字で見たほうが早いので、2つのケースを並べてみます。
ケースA:2027年3月31日の株主名簿に載った場合。ここが起算日になります。2年以上3年未満という条件を基準日で満たすのは、2年後の2029年3月31日。この年度に1,500ポイントの対象になります。さらに5年以上6年未満を満たすのは2032年3月31日で、ここで3,000ポイント。
ケースB:2027年4月に買って、最初に名簿へ載ったのが2028年3月31日だった場合。起算日が1年後ろへずれるので、1,500ポイントは2030年3月31日基準、3,000ポイントは2033年3月31日基準になります。買った時期の差はわずか1か月ほどでも、受け取りは丸1年変わってくるわけです。
で、いつ届くのか|基準日から進呈までのタイムライン

条件をクリアした年に、どういう流れでポイントが手元に来るのか。ここも「勝手に振り込まれる」と思っていると取りこぼします。NTTのdポイント進呈は、株主自身がエントリー(申込)をして初めて受け取れる仕組みだからです。
5月下旬に書類が郵送され、翌年3月31日までに申し込む。進呈は手続き当日
2026年度のサイクルを例に、時系列で並べるとこうなります。
| 時点 | 起きること |
|---|---|
| 毎年3月31日 | 基準日。保有期間を判定 |
| 基準日の約2か月後(2026年度は5月29日) | ID・パスワードを同封した株式関係書類が対象株主へ郵送される |
| 2026年5月29日〜2027年3月31日 | エントリーの受付期間 |
| エントリー完了後 | 原則としてその日のうちにポイントが進呈される(手続きが集中した場合などは数日かかることがある) |
受付期間が約10か月と長めに取られているのは助かるところですが、始まりが「郵便物が届くこと」なので、その郵便を見落とすと入口ごと消えるのが怖い部分です。引っ越して住所変更をしていなかったり、封筒を広告と勘違いして処分してしまったり——このあたりが現実的なリスクになります。株式関係の郵便物は中身を確認する、というだけで防げるところ。届いたら早めに済ませてしまうのがよさそうです。(出典:NTT公式FAQ「手続き完了後、ポイントが進呈されるまでの時間」/確認日:2026年9月1日)
受け取ったdポイントの有効期限は、最後に使った日から12か月
無事に受け取ったあとの話も押さえておきましょう。dポイントの有効期限は、最後にポイントを利用(ためる・つかう)した日から12か月後までです。獲得した日から一定期間で消える、というタイプではなく、使い続けているかぎり期限が延びていく形になっています。
普段からdポイントを貯めたり使ったりしている人なら、意識しなくても期限は更新されていきます。逆に、もらったきり1年以上まったく触らない状態が続くと失効の対象になり得るので、そこだけ注意という感じですね。(出典:NTT公式FAQ「獲得したdポイントに有効期限はあるのでしょうか」/確認日:2026年9月1日)
数えた年数が消える瞬間|株主番号が変わると起算日が戻る

ここまでの話を全部ひっくり返しかねないのが、株主番号の変更によるリセットです。NTTの優待は「同じ株主番号で連続して株主名簿に登録されていること」を条件にしているため、番号が変わると、それまで積み上げた年数がゼロに戻ります。
移管・貸株・相続で株主番号が変わったときにリセットされる
連続した登録が途切れる可能性がある行為として、公式が挙げているのは次のようなケースです。
- 別の証券会社へ株を移管したとき
- 貸株サービスを利用して、いったん名簿から外れたとき
- 相続や譲渡で名義が変わったとき
影響の大きさを、さきほどのケースAで見てみます。2027年3月31日に名簿へ載り、2029年に1,500ポイントを受け取ったとしましょう。あと3年待てば3,000ポイント、というところまで来た2031年に、手数料の安い証券会社へ移管したとします。すると株主番号が変わって連続記載が途切れるため、起算日は移管後に名簿へ載った日まで戻ります。2032年3月31日に来るはずだった3,000ポイントの権利は消え、そこから改めて5年を数え直すことになる。数百円の手数料を惜しんで、3,000ポイントを手放す——構図としてはそういう話になってしまいます。
40代は住宅ローンの借り換えやNISA口座の見直しなど、お金まわりを整理する機会が多い世代です。良かれと思った手続きが優待の年数に触れることがあるので、NTT株を動かす前にひと呼吸置く。これだけで防げます。(出典:NTT公式FAQ「進呈条件である保有期間はどのように計算するのでしょうか」/確認日:2026年9月1日)
売却して買い直した場合も、売却前の期間は通算されない
意外と検索されているのが「いったん売って、また買い直したらどうなるのか」という疑問です。答えははっきりしていて、売却前の保有期間は進呈対象の保有期間に含まれません。売却によって株主番号が変わり、同じ番号で連続して名簿に登録された状態ではなくなるためです。
「株価が上がったから一度利益確定して、下がったところで買い戻そう」という動きは、優待の年数だけを見ればまるごとリセットになるということ。値動きを取りにいく判断と、優待の年数を守る判断は、この銘柄では正面からぶつかります。
100株で約17,250円|必要資金と、優待とは別に受け取る配当
お金の話も整理しておきます。NTT株は100株で約17,250円(2026年8月31日終値172.5円で計算)。優待の権利という意味では、この100株が基準になります。そして優待とは別に、配当は保有している間ずっと受け取れます。
100株で約17,250円。株数を増やしてもポイントは増えない
株数ごとの必要資金は次のとおりです(株価172.5円は2026年8月31日の終値。出典:Investing.com/確認日:2026年9月1日。株価は日々動くので、実際の金額は購入時に証券口座で確認してください)。
| 株数 | 必要資金の目安 | 優待のdポイント |
|---|---|---|
| 100株 | 約17,250円 | 対象(2年目1,500/5年目3,000) |
| 500株 | 約86,250円 | 同じ |
| 1,000株 | 約172,500円 | 同じ |
表のとおり、進呈されるポイントは保有株数に比例しません。100株でも1,000株でも、条件は「100株以上を、何年持っているか」だけ。優待だけを見るなら100株で足ります。株数を増やして効いてくるのは配当のほうなので、そこは目的を分けて考えるほうがすっきりします。少額から始める優待という観点では、楽天の株主優待をまとめた記事もあわせて見てみてください。
年間配当は1株5.4円で利回り約3.1%、新NISAの成長投資枠なら非課税
NTTの年間配当は1株あたり5.4円(会社予想)で、2026年度は16期連続の増配となります。2026年8月31日終値の172.5円で計算すると、配当利回りは約3.1%。100株なら年間540円という水準です。dポイントの4,500ポイントが2回で打ち止めなのに対し、配当は毎期の業績や配当方針にもとづいて決められるものです。増配は16期続いていますが、この先も同じ水準が続くと決まっているわけではありません。
ここで効いてくるのが新NISAです。通常の課税口座では配当金や譲渡益に20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)がかかりますが、成長投資枠で買った上場株式等から生じる配当金・譲渡益は非課税になります。5年以上持つことが前提になる銘柄なので、非課税で受け取れる差は年を追うごとに積み上がっていきます。(出典:NTT公式「株主還元」、国税庁「No.1535 NISA制度」/確認日:2026年9月1日)
売上高は5期連続で増加、2026年度は1Qが増収増益で通期は減益予想
5年以上持つことが前提の優待なので、業績の数字も見ておきます。連結の営業収益(売上高)の推移は次のとおりです。
| 決算期 | 営業収益(連結) |
|---|---|
| 2022年3月期 | 12兆1,564億円 |
| 2023年3月期 | 13兆1,361億円 |
| 2024年3月期 | 13兆3,745億円 |
| 2025年3月期 | 13兆7,047億円 |
| 2026年3月期 | 14兆4,091億円 |
直近では、2027年3月期の第1四半期(2026年4〜6月)が営業収益3兆6,177億円(前年同期比10.9%増)、営業利益4,251億円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する四半期利益2,748億円(同5.8%増)で増収増益。一方、2026年度通期の会社予想は親会社株主に帰属する当期利益9,800億円で、前期比5.5%の減益予想です。四半期の実績と通期予想で方向が違うので、両方を並べて見ておくのがよさそうです。(出典:営業収益の推移はIR BANK、四半期・通期予想はYahoo!ファイナンス掲載の決算まとめ/確認日:2026年9月1日)
5年間動かさずにおけるかが分かれ目|向く人・向かない人と、その後
最後に、この優待が自分に合うかどうかの判断材料を整理します。金額の大小よりも、17,250円を5年以上まったく動かさずにいられるかどうか。ここに尽きると言っていいと思います。
17,250円を5年寝かせられる人と、そうでない人
たとえば、40代で子どもが小学生、家計は毎月それなりにカツカツだけれど17,250円なら余裕資金として出せる、という人を想定してみます。この場合、金額のハードルはほぼありません。途中で生活費として引き出さなければならない場面も考えにくく、そのまま置いておけば2年目に1,500ポイント、5年目に3,000ポイントが順番に来ます。dポイントは食費や日用品の支払いに充てられるので、受け取ったポイントが家計に戻ってくる感覚も持ちやすいはずです。
反対に合わないのは、その17,250円を数年以内に使う予定がある人、あるいは値動きを見ながら売り買いしたい人です。前者は途中で売却する可能性が高く、後者はそもそも「動かさない」という前提と噛み合いません。売って買い直しても年数は通算されないので、この銘柄で短期の売買と長期の優待を両立させるのは構造的に難しい。どちらか一方に決めるほうが結果的にすっきりします。
もうひとつの分かれ目が、口座を1つに固定できるかどうか。証券会社を移したり貸株に出したりする可能性がある人は、年数のリセットと隣り合わせです。逆に「この17,250円は5年間放置する口座に置く」と決められる人には、手間のかからない優待でもあります。同じ通信系で優待の設計を比べたい場合は、ソフトバンクの株主優待の記事も参考になると思います。
まとめ|NTTの優待は2回だけ、届くまでの導線を知っているかで結果が変わる
整理すると、NTTの株主優待は基準日3月31日時点で100株以上を保有し、2年以上3年未満で1,500ポイント、5年以上6年未満で3,000ポイント、生涯の上限は4,500ポイント。毎年もらえるわけでも1回だけでもありません。受け取りには郵送されたID・パスワードでのエントリーが必要で、受付は基準日の約2か月後から翌年3月31日まで。手続きが完了すれば原則その日のうちに進呈されます。
そして最大の落とし穴が、株主番号が変わったときの年数リセット。移管・貸株・相続に加えて、売却して買い直した場合も売却前の期間は通算されません。100株で約17,250円という金額の手軽さより、その17,250円を5年動かさずにいられるかのほうが、この銘柄では重要になります。6年目以降は新しい進呈がないので、3,000ポイントを受け取った時点で優待としては完走。その先を配当目的で持ち続けるかどうかは、買う前にぼんやりとでも決めておくと、途中の値動きに引っ張られにくくなります。優待の条件は変更されることがあるので、購入前にNTTの公式ページで最新の内容を確認してください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入を推奨・勧誘するものではありません。記事内の数値は、株価が2026年8月31日終値、優待・配当等の情報が2026年9月1日時点で確認したものです。株式投資には株価下落などのリスクが伴い、元本が保証されているわけではありません。※投資は自己責任でお願いします。