
- 吉野家の株主優待は「500円券」が年2回もらえる
- 100株と200株で、年間の優待額が2.5倍違う
- いくら必要で、いつ届いて、いつまで使えるのか
- 使う前に確認しておきたい優待券の条件
- この優待、続きそう?確認しておきたい数字
- 吉野家の株主優待が向いている人・向いていない人
牛丼の吉野家、たまに無性に食べたくなりませんか。仕事帰りに一人で寄ることもあれば、休日に子どもを連れて入ることもある。そういう「生活の中に普通にある店」の株主優待って、実はいちばん失敗しにくいジャンルだったりします。
ただ、吉野家ホールディングス(証券コード:9861)の優待は、調べてみると100株と200株で年間の金額が2.5倍違うという、けっこう極端な設計になっています。しかも2021年に制度が一度変わっていて、そのときに「増えた株主」と「減った株主」の両方がいた。ここを知らずに100株だけ買うと、あとで「あれ、思ってたより少ない」となりかねません。
この記事では、優待の中身・株数ごとの差・届く時期と有効期限・使うときの条件を、企業の公式情報をもとに整理していきます。株価は2026年8月18日の終値、優待情報は2026年8月19日時点で確認したものです。
🍜この優待、ラーメン何杯分?
100株なら年4,000円分の優待券
=ラーメン約4杯分🍜200株なら年10,000円分
=ラーメン約10杯分🍜※ラーメン1杯1,000円として計算した目安です。
吉野家の株主優待は「500円券」が年2回もらえる

吉野家ホールディングスの優待は、グループ店舗で使える「株主様ご優待券」です。1枚につき500円分の飲食に使えて、2月末と8月末の年2回、保有株数に応じた枚数が送られてきます。
保有株数ごとにもらえる枚数と年間金額
公式サイトの株主還元方針ページに記載されている区分は、次の4段階です。
- 100株〜199株:半期ごとに4枚(2,000円分)/年間4,000円分
- 200株〜999株:半期ごとに10枚(5,000円分)/年間10,000円分
- 1,000株〜1,999株:半期ごとに12枚(6,000円分)/年間12,000円分
- 2,000株以上:半期ごとに24枚(12,000円分)/年間24,000円分
申し込みや事前登録は必要ありません。基準日に株主名簿に載っていれば、あとは自動で郵送されてきます。長期保有による増額の仕組みは設定されていませんので、1年目でも10年目でも同じ枚数です。
使えるのは吉野家だけではない
「吉野家の優待券」という名前ですが、実際に使えるのは吉野家だけではありません。公式サイトによると、日本国内の以下のグループ各社の店舗で利用できます。
- 株式会社吉野家(牛丼の吉野家)
- 株式会社はなまる(はなまるうどん)
- 株式会社スターティングオーバー(千吉、鶏千、炒王)
- 株式会社ウィズリンク(ばり嗎、とりの助、風雲丸)
- キラメキノ未来株式会社(キラメキノトリなど)
牛丼だけだと家族の意見が割れがちですが、うどんとラーメンが選択肢に入るとだいぶ違います。「今日は牛丼、来週ははなまる」という使い分けができるので、消化のハードルはかなり低いほうです。同じ外食チェーンの食事券系だとコメダの株主優待もありますが、あちらは電子マネー形式で使える店も違うので、比べてみると性格の差がはっきりします。
キラメキノ未来の店舗だけルールが違う
ひとつだけ注意点があります。キラメキノ未来の店舗では「優待券2枚につき、好きなラーメン1杯と引き換え」という扱いになります。つまり1,000円分を使って1杯、ということです。ラーメンの値段が1,000円未満でも2枚必要になるので、金額で考えると他の店舗で使うほうが効率はよくなります。
100株と200株で、年間の優待額が2.5倍違う

この優待でいちばん押さえておきたいのが、100株と200株の段差です。株数は2倍なのに、もらえる金額は2.5倍になります。優待利回りで見ると、100株が1.08%、200株が1.35%という差になります。
100株は年4,000円分、200株は年10,000円分
株価3,717円(2026年8月18日終値)で計算すると、こうなります。
- 100株:必要資金371,700円/年間優待4,000円分/優待利回り1.08%
- 200株:必要資金743,400円/年間優待10,000円分/優待利回り1.35%
ここで間違えやすいのが、「200株で年10,000円分なら、100株はその半分の5,000円分だろう」という読み方です。実際は4,000円分。1,000円ぶんズレます。区分ごとに金額が決まっていて、比例していないんですね。
もうひとつ、意外と勘違いしやすいのが名義の話です。「自分で100株、妻の口座で100株、合わせて200株だから年10,000円分」——これも違います。優待は株主名簿の名義ごとに判定されるので、100株×2名義なら4,000円分が2つで年8,000円分。1名義で200株持つ場合と比べて、年2,000円分の差が出ます。
2021年の制度変更で、増えた区分と減った区分がある
ネット上には「吉野家の優待は改悪された」という情報と「200株がお得になった」という情報の両方が転がっています。どちらも間違いではなくて、株数の区分によって増えた人と減った人がいたというのが実際のところです。
2021年10月13日に発表された決算説明資料に、変更前後の対比が載っています(2022年2月末の基準日の株主から変更)。
- 100株〜199株:年6,000円分 → 年4,000円分(減)
- 200株〜999株:年6,000円分 → 年10,000円分(増)
- 1,000株〜1,999株:年12,000円分 → 年12,000円分(変わらず)
- 2,000株以上:年24,000円分 → 年24,000円分(変わらず)
会社は変更の背景として「株主還元の公平性」「新型コロナウイルス感染症の影響による不透明な経営環境」「持続的な成長の追求」を挙げ、制度を変更したうえで継続すると説明しています。
ここが大事なところで、いま検索して出てくる古めの記事には「100株で年6,000円分」と書かれたままのものがあります。その数字は2022年2月末の基準日より前の内容です。利回りを計算するときに6,000円で置いてしまうと、優待利回りが1.6%になってしまい、実際の1.08%と大きくズレます。
券の額面が上がって、使い勝手も変わった
金額の増減だけでなく、1枚あたりの額面が300円から500円に上がった点も見落とされがちです。枚数は減って1枚の価値は上がったわけですが、これは後述する「お釣りが出ない」というルールと組み合わさると、使いやすさの意味が変わってきます。300円券なら小さい会計にも当てやすかったのが、500円券だとそうはいかない場面が出てくるからです。
いくら必要で、いつ届いて、いつまで使えるのか

結論から言うと、最低371,700円(100株・2026年8月18日終値ベース)で、権利を取ってから券が届くまで約2〜3か月、届いてからの有効期限は約1年です。ここは条件が絡むので、実際の日付で追ってみます。
配当を合わせた総合利回りはどのくらいか
2027年2月期の配当予想は年22円(中間11円+期末11円)です。株価3,717円で計算すると、こうなります。
- 100株:配当利回り0.59% + 優待利回り1.08% = 総合利回り1.67%
- 200株:配当利回り0.59% + 優待利回り1.35% = 総合利回り1.94%
総合利回りは100株で1.67%、200株で1.94%という水準です。利回りの数字を軸に銘柄を並べて考えたい方は、高配当と優待を組み合わせて考える記事のほうも参考にしてみてください。
2026年8月の権利で買うと、券が届くのは11月中旬
直近の基準日は2026年8月31日(月)です。名簿に載るには2営業日前までに買う必要があるので、権利付最終日は2026年8月27日(木)、権利落ち日は8月28日(金)という計算になります。
ここで100株を買った場合、公式サイトの記載では8月末分の発送は11月中旬。つまり買ってから手元に券が届くまで約3か月あります。「今週買って来週使う」というものではない、ということですね。
逆に、8月27日に間に合わなかった場合はどうなるか。次の基準日は2027年2月末で、発送は5月上旬です。9月に買うと、最初の優待券が届くのは2027年5月上旬。8か月ほど先になります。数日の差で半年以上ずれるので、権利日前後に検討している方はカレンダーを確認しておいたほうがよさそうです。
有効期限は「送られてきた月から翌年の同じ月末」まで
公式サイトのよくあるご質問には、有効期限がはっきり書かれています。
- 5月上旬の送付分 → 翌年5月末日まで
- 11月中旬の送付分 → 翌年11月末日まで
つまり2026年11月中旬に届いた券は、2027年11月末日まで使えます。約1年あるので、優待券としてはかなり余裕があるほうです。ただし年2回もらえるということは、使い切れないまま次が届く状態になりやすいということでもあります。100株で年4,000円分=500円券が年8枚。月に1回ペースで店に寄る習慣があるかどうかが、実質的な分かれ目になります。
使う前に確認しておきたい優待券の条件

額面だけ見ていると見落とすポイントがいくつかあります。とくにお釣りの扱いは、実際に使える金額の感覚を変えるので先に押さえておきたいところです。
優待券だけで払うとお釣りが出ない
公式サイトに明記されているとおり、優待券のみで支払う場合、お釣りは受け取れません。1回の会計で何枚でも使えるので合計金額が大きいときは問題ないのですが、500円に満たない会計に1枚使うと、差額はそのまま消えます。
年4,000円分と聞くと現金4,000円がそのまま浮くように感じますが、額面どおりに使い切れるかは会計金額しだいです。たとえば480円の会計に1枚使った場合、浮くのは480円で、残りの20円は戻ってきません。逆に会計が500円以上であれば、券の額面はまるごと支払いに充てられます。1枚使うなら会計を500円以上に、2枚使うなら1,000円以上にしておけば、額面が目減りしません。
使えない店舗もある
グループ店舗で幅広く使えるとはいえ、公式サイトには「一部取扱いのできない店舗がございます(競馬場内・競艇場内・臨時店舗等)」と書かれています。また、かつてグループにあった京樽は現在は対象外です。
吉野家は全国に1,290店(2026年2月期末)、はなまるは418店ありますが、千吉や鶏千、ばり嗎といったブランドは店舗数が限られていて地域の偏りもあります。「グループ全体で使える」と「自分の生活圏で使える」は別の話なので、通勤路や近所に対象店舗があるかは事前に調べておきたいところです。この観点は地方在住で優待を選ぶときの考え方でも書いたとおり、地方だと差が出やすい部分になります。
時間限定の商品と、商品セットへの引き換え
公式のよくあるご質問によると、店舗で販売しているすべての商品が対象になる一方で、朝定食など販売時間限定の商品については、その販売時間内での利用となります。
また、200株以上を保有している株主は「株主様ご優待商品セット」との引き換えも選べます。近くに店舗がない場合の逃げ道になる仕組みですが、引き換えできる期間は都度設定されていて、公式サイトを確認した時点では当該期間は終了と記載されていました。セットの具体的な中身や送付の条件については、公式で確認できる情報が限られているため、この記事では踏み込まずにおきます。優待券に同封される案内が正確な情報源になります。
この優待、続きそう?確認しておきたい数字
優待が続くかどうかを言い当てることはできませんが、判断材料になる数字は公開されています。ここでは評価はせず、確認できた事実だけを並べます。
決算短信の記載
2026年4月9日に開示された2026年2月期の決算短信では、「継続企業の前提に関する注記」は「該当事項はありません」と記載されています。重要事象等の記載も確認できませんでした。
あわせて、連結貸借対照表には「株主優待引当金」309百万円という科目が計上されています。これは期末時点で使われていない優待券に対応する負債で、前期末は307百万円、2024年2月期末は301百万円でした。優待制度がどれくらいの規模の負担として会計処理されているかが分かる数字です。
直近5年の売上高と営業利益
有価証券報告書(第69期)と各期の決算短信から拾うと、次のようになります。
- 2022年2月期:売上高1,536億円/営業利益23.6億円
- 2023年2月期:売上高1,681億円/営業利益34.3億円
- 2024年2月期:売上高1,875億円/営業利益79.7億円
- 2025年2月期:売上高2,050億円/営業利益73.1億円
- 2026年2月期:売上高2,257億円/営業利益80.9億円
売上高は5年連続で増加しています。営業利益は2025年2月期にいったん減りましたが、直近の2026年2月期は増収増益でした。自己資本比率は54.5%、営業活動によるキャッシュ・フローは147億円の収入です。2027年2月期の会社予想は売上高2,420億円、営業利益85億円となっています。
ひとつ注意しておきたいのが、2022年2月期は営業利益23.6億円に対して純利益が81.2億円と、逆転している点です。この期は、各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金等が「助成金等収入」として営業外収益に計上されており、その額は48億81百万円でした(2023年2月期の決算短信に記載)。営業外収益は営業利益には含まれないため、この期は営業利益と純利益の動きが一致していません。
株価の水準はどのあたりか
2026年8月18日の終値3,717円を、2027年2月期の会社予想1株当たり当期純利益75.71円で割ると、PERは約49倍になります。過去5年の平均PERは33.74倍なので、そこから4割以上高い位置にあるという計算です。
優待の内容は株価が動いても変わりませんが、優待利回りと総合利回りは株価が上がるほど下がります。この記事の1.67%という数字も、株価3,717円という前提の上に乗っているものです。実際に検討するときは、そのときの株価で計算し直してください。
一次情報はどこで確認できるか
この記事で使った数字の出どころは次のとおりです。
- 優待の内容・権利確定日・発送時期・利用条件:吉野家ホールディングス公式サイト「株主還元方針」(2026年8月19日確認)
- 有効期限・時間限定商品の扱い:同社公式サイト「よくいただくご質問」(同日確認)
- 業績・配当予想・継続企業の前提に関する注記:2026年2月期 決算短信(2026年4月9日開示)
- 5年間の業績推移:有価証券報告書 第69期(2026年5月22日提出)および各期決算短信
- 2021年の制度変更の内容:2021年10月13日 決算説明資料
優待の内容は会社の判断で変更されることがあります。取得を検討する際は、必ず公式サイトの最新の記載を確認してください。
吉野家の株主優待が向いている人・向いていない人
ここまでの条件を踏まえると、向き不向きはかなりはっきり分かれます。金額そのものより、生活圏に店舗があるかと、200株まで出せるかの2点で決まると言っていいと思います。
向いている人
- 通勤路や生活圏に吉野家・はなまるがある人。月1回でも寄る習慣があれば、年8枚は無理なく消えます
- 200株(約74万円)まで資金を出せる人。100株の2倍の投資で2.5倍の優待になるので、効率は明確に上がります
- 家族で使いたい人。1回の会計で使える枚数に制限がないので、家族4人ぶんの支払いに複数枚まとめて使えます。牛丼が苦手な家族がいても、うどんという選択肢があります
- 期限を気にせず使いたい人。約1年の有効期限は、優待券としてはゆとりのある部類です
向いていない人
- 近くに対象店舗がない人。200株以上なら商品セットへの引き換えという道もありますが、引き換え期間が限られるうえ、100株ではその選択肢がありません
- 利回りの数字を重視する人。総合利回りは100株で1.67%、200株でも1.94%です
- 100株だけで様子を見たい人。100株の優待利回りは1.08%で、200株の1.35%を下回ります
- 外食の習慣がない人。優待のために普段行かない店に行くのは、節約とは逆方向の行動になりがちです
まとめ
吉野家ホールディングスの優待は、「生活の中で自然に消える券」という意味では扱いやすい部類です。一方で、100株と200株の段差、お釣りが出ない500円券、対象外の店舗といった条件が積み重なっていて、額面をそのまま節約額として受け取ると少しズレます。
私自身はというと、この記事を書いている時点では吉野家ホールディングスの株は持っていません。実物の券を手にしたことがないので、使ってみた感想は書けません。地方在住で、近所に吉野家はあるものの、はなまるやラーメン業態までは徒歩圏にないというのが正直な状況です。数字だけ見て「200株が効率いいですね」と言うのは簡単ですが、74万円を1銘柄に固定するかどうかは、また別の判断になります。
この記事の数値は2026年8月18日の株価および2026年8月19日時点で確認した優待情報にもとづくものです。優待内容・配当・株価はいずれも変わりますので、判断する際はご自身で最新の情報を確認してください。
※投資は自己責任で行ってください。この記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。